2013年11月10日日曜日

福島第1原発:汚染水流出 3日前に発表決定 公表遅れ、東電社長ら減給<毎日新聞 2013年07月27日>

毎日新聞
ホーム>http://mainichi.jp/

福島第1原発:汚染水流出 3日前に発表決定 公表遅れ、東電社長ら減給
毎日新聞 2013年07月27日 東京朝刊
http://mainichi.jp/feature/20110311/news/20130727ddm008040051000c.html
▼全文引用


 東京電力福島第1原発の放射性汚染水問題で、東電の広瀬直己社長は26日の記者会見で、海洋流出を発表 する3日前(19日)に流出の発表を社内決定しながらも「説明用資料を作成するため」として発表を見合わせていたことを明らかにした。すぐに公表しなかっ たことに批判が強まりそうだ。広瀬社長は謝罪し、自身を1カ月間、減給10%とするなど計5人の社内処分を発表した。
 東電が社内の原子力改革監視委員会(デール・クライン委員長)に提出した報告書によると、汚染水の検出 を示す生データの存在を把握したのは18日未明。広瀬社長へ生データの存在を報告したのは19日夕方だった。社内会議を開いて海洋流出の発表をいったん決 定したものの、説明用の資料の作成が19日時点では間に合わず、発表が22日夕になったとしている。
 広瀬社長は「資料を整える必要があった」と釈明し、参院選(開票日21日)の影響を回避したとの見方は否定した。

 会見に出席したクライン委員長は「東電は社内が縦割りで、(事故収束に向けた)現場の努力を無駄にしている」と批判した。

毎日新聞
ホーム>http://mainichi.jp/


毎日新聞購読申し込み
https://form.mainichi.co.jp/annuncio/koudoku/form.html
サンデー毎日(定期購読のお申し込み)
http://www.mainichi.co.jp/publish/magazine.html

機構、今度は通報遅れ 被ばく55人か(茨城県東海村の加速器実験施設「J-PARC」の放射性物質漏れ事故)<東京新聞 TOKYO WEB 2013年5月25日>

東京新聞 TOKYO WEB
トップ >http://www.tokyo-np.co.jp/

機構、今度は通報遅れ 被ばく55人か
2013年5月25日 14時00分
http://www.tokyo-np.co.jp/article/feature/nucerror/list/CK2013052502100010.html
▼全文引用



 茨城県東海村の加速器実験施設「J-PARC」の放射性物質漏れ事故で、日本原子力研究開発機構は二十五日未明、東京都内で記者会見し、国への報 告が一日以上遅れた原因を、放射性物質の漏えいが施設内にとどまっていると過小評価していたためと発表。「意識と連絡態勢が十分に機能していなかった」と 謝罪した。 
 事故当時、施設に出入りしていた五十五人のうち、実験装置の付近で準備をしていた大学院生二人を含む二十二~三十四歳の男性四人が一・六~〇・六ミリシーベルトの内部被ばくをした。機構は残り五十一人も被ばくしている可能性があるとみて検査を急ぐ。
 機構は「健康にどういう影響があるかは分からないが、原発作業員などの年間被ばく限度は五〇ミリシーベルトだ」としている。茨城県は二十五日午後、施設の立ち入り調査を始めた。
 機構をめぐっては、高速増殖原型炉もんじゅ(福井県敦賀市)で重要機器の点検漏れが相次ぎ、鈴木篤之理事長が引責辞任したばかり。
 実験は高エネルギー加速器研究機構が実施。機構や高エネ研によると、二十三日正午ごろ、原子核素粒子実験施設内で金に陽子ビームを当て素粒子を発生させる実験中、装置の誤作動でごく短時間に計画の約四百倍の強いビームが当たり、金の一部が蒸発して放射性物質が漏れた。
 直後の午後一時半ごろには施設内で放射線量が上昇したが、管理区域内で想定される範囲内の汚染と判断し、同三時ごろと同五時半ごろに排気ファンを作動させた。この際に放射性物質が施設外に漏れたとみられる。
 西に約五百メートル離れた研究所のモニタリングポストの数値が排気ファンを作動させた時間に合わせて上昇しているのが二十四日午後五時半ごろに確認され、施設外への漏えいを初めて認識したという。
 高エネ研は排気ファンの作動を「内部の線量が下がるだろうと思った。間違った認識だった」と説明。放射線管理の甘さを認めて謝罪した。
    ◇
 原子力機構は会見で、被ばくした四人について「被ばく線量を測ってみて、報告に値する数値ではないと考えた」と説明。敷地外への漏えいは、周辺住民の健康に影響がないレベルとしている。
 国の基準では、一般人の被ばく限度は年一ミリシーベルト。原発作業員らの被ばく限度は年五〇ミリシーベルトで五年間で一〇〇ミリシーベルト以下となっている。

◆根深い安全軽視体質

 茨城県東海村にある日本原子力研究開発機構の実験施設で起きた研究者たちの被ばく事故は、あらためて機構の安全管理のずさんさを露呈させた。
 機構が運営する高速増殖原型炉「もんじゅ」(福井県敦賀市)をめぐる一万点に上る機器の点検漏れ問題では点検時期がマニュアルに記載されていなかった上、点検時期が過ぎていても職員が問題を感じないなど、安全管理体制や機構内の意識の低さが問題となった。
 今回の事故でも、機構は施設外への放射能漏れはないと安易に判断。研究者らを帰宅させ、後になって内部被ばくが判明し、慌てて原子力規制委員会や県に通報するありさまだった。
 もんじゅだけをみても、機構は二〇〇八年三月以降、原子炉の冷却用ナトリウムの漏れ検出器の点検体制の不備や、燃料交換装置の原子炉内への落下な ど、七件のトラブルを起こした。そのたびに、原因分析や再発防止策をまとめたが、分析や対策が形だけのものにとどまり、その後もトラブルを繰り返した。
 体質改善に取り組もうとする矢先に、安全を軽視する事態が再び起き、機構が抱える問題の根深さを印象づけた。 (小野沢健太)
 <加速器実験施設「J-PARC」> 直径約500メートルの大型加速器など3台の加速器を組み合わせた最先端の実験施設。加速器の中で陽子のビームをほぼ光速にまで加速、標的にぶつけて飛び出る中性子やニュートリノを研究に利用する。



東京新聞 TOKYO WEB
トップ >http://www.tokyo-np.co.jp/


【東京新聞購読のご案内】
http://www.tokyo-np.co.jp/koudoku/
TOKYO Web 「ニュースクリップ」
http://www.newswatch.co.jp/bns/chunichi-nc/newsclip/


★関連記事
 異常検知後も実験継続 放射性物質漏れ、被ばく6人に
2013/05/25 21:14   【共同通信】<47NEWS>
http://www.47news.jp/CN/201305/CN2013052501001587.html

六ケ所村再処理工場完成1年延期 震災影響で日本原燃(北海道新聞 2012/09/18)

北海道新聞
六ケ所村再処理工場完成1年延期 震災影響で日本原燃
(2012/09/18 17:18) 
http://www.hokkaido-np.co.jp/cont/earthquake201209/175364.html
(全文引用)

 日本原燃は18日、10月に予定していた使用済み核燃料再処理工場(青森県六ケ所村)の完成を東日本大震災の影響などで1年延期し、来年10月とすることを決めた。完成時期の延期は今回で19回目。日本原燃の川井吉彦社長が19日に青森県に報告する予定。

 再処理工場は2006年3月に試運転を開始したが、最終段階となる高レベル放射性廃棄物のガラス固化試験でトラブルが相次ぎ08年12月に中断した。その後、震災やさらなるトラブルで工程が大幅に遅れた。

 今年6月、3年半ぶりに試験を再開したが、国によるストレステスト評価などもあり、操業の見通しは立っていない。

北海道新聞 ホーム>http://www.hokkaido-np.co.jp/

2013年11月9日土曜日

立ち直ることも、よみがえることも出来ない町【 そこは未だにゴーストタウン 】(星の金貨プロジェクト 2013年9月2日)

星の金貨プロジェクト
ホーム> http://kobajun.chips.jp/
立ち直ることも、よみがえることも出来ない町【 そこは未だにゴーストタウン 】
2013年9月2日
http://kobajun.chips.jp/?p=13535
◇全文引用

福島が一体何に直面させられているか、その事を世界中の人々に理解してほしい
(動画 省略)


リンクコード : http://www.cbsnews.com/8301-18563_162-57600173/area-near-fukushima-remains-a-radiological-ghost-town/

アメリカCBSニュース 8月26日

2011年3月11日に襲った巨大地震と巨大津波がきっかけとなり、福島第一原発の3基の原子炉がメルトダウンを引き起こしたとき、福島第一原発からわず か3キロの場所で暮らしていた福島県大熊町の住人11,500人は、自らの命を守るために町を逃げ出さなければ亡くなりました。
事故発生から2年半近くが過ぎましたが、この町の住民は年10回以内、一回当たり5時間以内に制限され、町を訪問することを許されていますが、果たして再びこの町に住める日がやって来るのかどうか、疑問に思っています。
CBSニュースのセス・ドーンが現地からリポートします。

自宅が避難区域内にある場合、その場所で暮らしていた住民は防護スーツでその身を覆い、必要な機器を携行して検問所を通っていかなければなりません。
基本的にはかつての住民だけが避難区域内への立ち入りを許されるため、CBSニュースのスタッフはかつての大熊町の住民で悪化大川原明さんに同行をお願いすることにしました。

避難区域内に自宅がある被災者は一年間に10回以内、そして1回あたり5時間以内の滞在に限り、帰宅を許されています。
「私が住んでいたところは、とても美しい場所だったのです。」
大川原さんは自宅に向かう道すがら、こう語りました。
「その事を考えると、いたたまれない気持ちになります。」

建ててから50年が経つ彼の家の周囲の道路には雑草がはびこっていました。
唯一聞こえる音と言えば、昆虫の羽音、そしてCBSニュース・スタッフが携行している放射線の線量計が立てるカチカチという不気味な音だけでした。

災害発生から2年半近くが過ぎ、誰も住んでいないこの家の中には人の痕跡は無く、動物たちによって荒らされてしまっていました。
テーブルの上に災害が発生したその日、2011年3月11日付の新聞が載っていました。
「この家に配達された、最後の新聞です。」


大川原さんと彼の家族は、避難は数時間かそこらで終わるものと信じていました。
放射性物質により被ばくをしてしまった彼の3人のこどもの幼いころの写真が、居間の壁に掛かっていました。

「私は、福島が一体何に直面させられているか、その事を世界中の人々に理解してほしいのです。」
大川原さんが語りました。
「そして、未だに私たちがどれ程の苦しみの中にいるのかを。」
あまりに多くの思いが胸の中を去来し、彼はそれ以上、言葉を続けることが出来ませんでした。

地元のコインランドリーの機械の中には洗濯物が放置され、線路の上はもう何年も電車が通った形跡がありません。

福島第一原発から3キロの場所にある大熊町に放射性物質の雲が流れ込んできたとき、この町の11,500の人々は急いで町から逃げ出さなければなりませんでした。

大川原さんは未だに実現されない東京電力による家屋への補償、その補償内容の決定が出るまで待たされて続けています。
「もう怒りに支配されている段階は通り越してしまいました。これ以上怒って見せたところで、いったい何が変わるのでしょうか?」
大川原さんがこう話しました。
「もう諦めかけている自分がいる、そう感じています。」

大川原さんは大熊町に戻った際には、必ず先祖代々の墓に詣でることにしています。
彼自身はこの町に住んで6代目ということになります。
そして彼の代で、大熊町の住民としての歴史は絶えるかもしれないと考えています。

未だに275人の町民が仮設住宅暮らしを強いられています。
大川原さんはこれからその場所でずっと暮らすことのできる家、その家に家族で入ることを切望しています。

しかし東京電力が大川原さんに支払ったのは、除染作業員としての日当だけです。
大川原さんも、その他の6,300人の元住民が、汚染された土地の表面を削り取る作業に従事しています。

彼の自宅近くの路上には、削り取られた汚染土が詰まった黒い袋が、いくつもいくつも並べられています。

http://www.cbsnews.com/8301-18563_162-57600173/area-near-fukushima-remains-a-radiological-ghost-town/
 + – + – + – + – + – + – + – + – + – + – + – + – +

朝の連続テレビ小説『あまちゃん』を見ていたら、今日は3.11のシーンでした。
見ていてやはりあの日の『何か』がよみがえり、何とも言えない気分になりました。

私などは仙台市の中心部にいて、停電、断水など、ライフラインの途絶こそ体験し、勤めている会社も相当程度被害を受けましたが、幸い自宅にはほとんど被害が無く、今日に至っています。
被災地区の真っただ中でしたが、家族の、特に子供たちの福島第一原発による放射線の被ばく線量がいったいどの程度なのか、その点が非常に気がかりである点を除けば、その実害は『軽微』で済んだ方だと思います。

しかしここのアメリカCBSニュースが取り上げた福島県沿岸部の方々は、未だに『あの日』が続いているだろうし、その苦しみは私とは比較にならないものでしょう。

世界中のメディアが福島の被災者の方々について取り上げました。
【星の金貨】でご紹介したのも、以下のURLを始め、無数にあります。

http://kobajun.chips.jp/?p=13292
http://kobajun.chips.jp/?p=13049
http://kobajun.chips.jp/?p=12390
http://kobajun.chips.jp/?p=2304
http://kobajun.chips.jp/?p=2017
http://kobajun.chips.jp/?p=1557

など、数限りなくありますが、改めて読み返して気がつくのは、被災者の方々の苦しみがこの2年半、ほとんど何も改善されてはいない、という事です。

そして事故そのものは、8月に入っての報道に象徴されているように、ここにきて状況は悪化を続けています。

いったいこの2年半は何だったのだろうか?と思ってしまいます。

この間、ドイツでは原子力発電の中止が決まり、アメリカですら最近、サンオノフレとヴァーモント・ヤンキーの現役の原子力発電所の廃炉が決まりました。
これに対し、日本で決まったこと、それは事故を起こした福島第一原発の廃炉だけなのです。

星の金貨プロジェクト
ホーム> http://kobajun.chips.jp/

もんじゅで保安検査 「節目に説明を」と規制庁(47NEWS 2013/09/02)

47NEWS
トップ >http://www.47news.jp/

もんじゅで保安検査 「節目に説明を」と規制庁
2013/09/02 12:05   【共同通信】
http://www.47news.jp/CN/201309/CN2013090201001607.html
◇全文引用





 原子力規制委員会は2日、日本原子力研究開発機構の高速増殖炉原型炉もんじゅ(福井県敦賀市)で、施設の運転管理状況などを確認する3カ月ごとの保安検査を始めた。
 規制委は5月、もんじゅで約1万点の機器の点検漏れが見つかったことを受け、安全管理体制の再構築ができるまで 運転再開の準備作業を行わないよう事実上の運転禁止命令を出した。原子力規制庁幹部は、初日の会合で「機器の点検完了などの節目には、対外的に説明をして ほしい。何をしているか見えない」と原子力機構の姿勢に苦言を呈した。
 規制委は今回の検査で、機器の管理状況や再発防止策、保全計画などを確認した。


47NEWS
トップ >http://www.47news.jp/

共同通信
トップ >http://www.kyodo.co.jp/



※関連記事
福井新聞
もんじゅ点検漏れ「対応見えぬ」 保安検査開始の規制庁が苦言
(2013年9月2日午後6時25分)
http://www.fukuishimbun.co.jp/localnews/nuclearpower/45275.html

もんじゅ点検漏れ「甘えがある」 文科省、機構に批判相次ぐ
(2013年6月7日午後6時16分)
http://www.fukuishimbun.co.jp/localnews/nuclearpowermonjuresume/43103.html

発信箱:あの日の記憶=青野由利(論説室)<毎日新聞 2013年01月18日>

毎日新聞
ホーム>http://mainichi.jp/

発信箱:あの日の記憶=青野由利(論説室)
毎日新聞 2013年01月18日 01時58分
http://mainichi.jp/opinion/news/20130118k0000m070165000c.html
◇全文引用


 頭の中の記憶装置が日々、劣化している。数日前の取材メモを見て、「なんのこと?」と思うほど。あの3月11日でさえ、当日はともかく、1週間後、10日後のこととなると、さっぱり思い出せない。
 そんな具合だから、私が福島県民だったら、県の「健康管理調査」に、怒るか、あきらめるか、悲しくなる かのいずれかだろう。3月11日から4カ月間、1時間単位でどこにいたか思い出し、調査票に記入しなくてはならない。自宅か、勤務先か、何市の何丁目か。 移動は車か徒歩か。3月中の食事も思い出す必要がある。目的は被ばく線量の推計だ。
 回収率は昨年12月で23%。原子力規制委員会が開催している検討会でも割合の低さが問題になった。福島からも、「とても埋められない」という話が伝わってくる。
 もちろん、推計は一人一人の健康管理のために必要だ。みんなが不安に思う低線量被ばくの影響を集団とし て検証するための世界的に貴重なデータでもある。しかし、後から記憶をたどったとして、どれほど正確か。時間がたつと記憶が変質することは、心理学の世界 ではよく知られている。
 規制委は事故に備えヨウ素剤を戸別配布する方針を決めたが、「行動記録」の重要性も周知しておいた方がいい。政府も業界も「安全が確認されたものから再稼働」などと言う前に、真剣に考えなくてはならないのは事故対策だ。
 そういえば、原発事故直後に、「行動をメモしておいたほうがいい」と言った人がいた。その時に広めておけばよかったが、どこの誰の話か、これまた思い出せない。メモっておけばよかったと思っても後の祭りである。

毎日新聞
ホーム>http://mainichi.jp/

毎日新聞購読申し込み
https://form.mainichi.co.jp/annuncio/koudoku/form.html
サンデー毎日(定期購読のお申し込み)
http://www.mainichi.co.jp/publish/magazine.html

もんじゅ:電源不備、監視装置停止 4時間半、国に情報伝送されず(福井新聞 2013年6月3日)

もんじゅ:電源不備、監視装置停止 4時間半、国に情報伝送されず
福井新聞 2013年6月3日午後8時01分
http://www.fukuishimbun.co.jp/localnews/nuclearpowermonjuresume/42989.html
http://d.hatena.ne.jp/jut8756ashue983burihho4b9/20130930/1380551363

福島第1原発:汚染水問題 タンクの隙間25ミリ 東電が推計(毎日新聞 2013年08月31日)

福島第1原発:汚染水問題 タンクの隙間25ミリ 東電が推計
毎日新聞 2013年08月31日 東京朝刊
http://mainichi.jp/feature/20110311/news/20130831ddm008040055000c.html
http://d.hatena.ne.jp/jut8756ashue983burihho4b9/20130930/1380551127

敦賀原発2号機:規制委検討会、活断層の判断持ち越し(毎日新聞 2013年08月30日)


敦賀原発2号機:規制委検討会、活断層の判断持ち越し
毎日新聞 2013年08月30日 22時02分
http://mainichi.jp/select/news/20130831k0000m040068000c.html
http://d.hatena.ne.jp/jut8756ashue983burihho4b9/20130930/1380551037

2013年11月1日金曜日

週刊朝日でしかわからないフクシマの現実(2011/9/20)dot.

dot.
トップ>http://dot.asahi.com/
週刊朝日でしかわからないフクシマの現実
(更新 2011/9/20 18:14)
http://dot.asahi.com/news/domestic/2012092600572.html
※全文引用


◆回収しきれない放射性物質、いかにこれに対応すべきか◆
(元原子力安全委員会委員長代理・住田健二)

 1、2号機はこれまでの 報道で予知していたとおりだった。しかし3号機建屋の破損ぶりは無残としかいいようがない。水素爆発はチェルノブイリ原発の事故でも大破損の原因になって いたので心配され、知識としては知っていたつもりだったが、これだけ激しい爆発で建物がぶっ飛ぶような事態になるとは、お恥ずかしい話ながら、予想できな かった。

 運転休止中の4号機には、使用済み燃料プールに大量の燃料集合体が保管されていた。このプールで燃料集合体が再び核分裂を起こ し再臨界が起こったとの見方も出ていた。正確な中性子測定データが発表されていないので完全に否定はできないが、大丈夫だったようだ。しかし、今回初めて 眺め得た建物の裏側の崩壊からは、大きな余震に見舞われれば、プールの燃料集合体が大量に崩れ落ちてこないか心配になった。原子炉の炉心部のような厳しい 遮蔽(しゃへい)に囲まれていないので、炉心数個分の大量のウラン燃料が崩れ落ちると、たいへん厄介なことになる。何らかの建屋補修が急務だが、高い放射 線量の場所での作業は、容易ではないだろう。

 それと、東京電力は、4号機の破損について3号機から配管を通して水素が漏れて爆発したと説明しているが、これも金属の表面の組成変化を調べれば、水素爆発が原因かどうか、漏出経路も特定できるはず。爆破や材料工学の専門家にも意見を聴いて解明すべきだ。

  一般論になるが、これだけ大きな原発の事故は過去に例がない。放出された放射能はチェルノブイリ原発事故の10分の1と言われているが、1号機から4号機 の原発の中にはチェルノブイリの何倍もの放射性物質がまだ残されている。早急にこれらを封じ込めるだけでも大変な作業だが、この先数十年にわたり、これら をしっかりと封じ込め続けなければならない。

 その大問題にはほとんど前例がない。日本が自分たちで答えを出さなければいけない。その点 からも国が責任をもって後始末の方向を明示すべきで、事業者まかせにならぬようにしてほしい。それには、さまざまな立場の専門家が意見を出し合って、対策 をよく考える必要がある。現状はどうだろうか、手を抜かず正面から取り組め、と言っておきたい。それにつけても、もっと情報をオープンにすることが大切。 公開性、透明性はぜひとも必要。原子力三原則の「自主・民主・公開」の原点に立ち返るべき時点にきている。

 たとえば、東京電力は炉心の 核燃料を回収する計画を発表しているが、果たしてこの状態から溶けてぐちゃぐちゃになった燃料を完全に取り出せるのか。この動画では内部の状態がわからな いが、主要な構造や建造物の外観形状は無事だとしても、汚染された建物や機材までをとなると大変。原発全体を片づけるのには、膨大な費用がかかるだろう。 それと、同時に忘れてはならぬことは、全体としてものすごい被曝(ひばく)量が予想される作業になる。住民感情を考えると、完全に更地に復元することが望 ましいが、現実的な選択肢として、ここを回収しきれない放射性物質などの半永久的な貯蔵地として、使わせてもらうことをお願いしなければならないこともあ りうるのではないか。
     *
すみた・けんじ 1930年、大阪府生まれ。大阪大学名誉教授。原子力安全委員会委員、同委員長代理を歴任。日本原子力学会会長も務めた


◆地下に防壁を造らなければ、汚染はさらに拡散する◆
(京都大学原子炉実験所助教・小出裕章)

 福島第一原発事故の状況は公開された写真で理解していたつもりですが、敷地内で撮影された動画を見て、すさまじい破壊が起こったことがよくわかりました。

 原発事故の危険性を訴え続けてきましたが、私もどこか油断があったと思います。ましてや原子力を推進する人たちは、このような破壊が起こるとは想像もしていなかったでしょう。

  運転を止めていた4号機は下のほうまで壁が吹き飛んでいますね。私は当初、建屋内のプールに保管されていた使用済み核燃料から水素が発生して爆発が起こっ たと考えましたが、そうだとすると水素は軽いので建屋の上部が破壊されたはずです。東京電力の説明のように、3号機で発生した水素がダクトを通じて流れ込 んだのかもしれません。

 停止中の4号機には、建屋上部のプールに使用済み核燃料も含めて1535体もの燃料集合体が入っています。崩壊 を防ぐ補強工事がおこなわれたようですが、余震などで建物が崩れ落ちる危険性があります。そうなると強い放射能を出す使用済み核燃料がばらまかれて、だれ も近づけなくなってしまう。

 私は事故直後から、燃料棒が入っている炉心と使用済み核燃料のプールを、ひたすら冷やし続けなければいけないと言ってきました。半年たっても、それに変わりはありません。冷却に失敗すれば再び水蒸気爆発が起こることも考えられます。

  しかも、1号機から3号機の炉心の核燃料は溶融体となって、どこにあるかもわからない。1号機に関しては、溶融体が圧力容器の鋼鉄を溶かして、格納容器の 下部に落ちています。さらに格納容器を溶かして外に出ている可能性が高い。もし、コンクリートの土台や岩盤にめり込んでいれば、いくら水をかけても内部は 冷やせません。水を循環させる冷却システムもできているようですが、高濃度の放射能を含んだ冷却水をためるタンクを遮蔽するものがないのも気になります。

  核燃料の溶融体が地下水と接触すれば放射能汚染が拡大します。それを防ぐために地下に防壁を張り巡らせる必要があると訴えてきました。できるだけ早く造ら なければいけないのですが、敷地にがれきが散乱する中で、しかも10シーベルトなどという放射線が測定される現場で、地下にダムを造るような大がかりな工 事は非常に困難だと思います。それでも造らなければ、放射能汚染は地下から海に拡大していきます。

 2号機、3号機も内部の状況がわかっ てくれば、1号機と同様に核燃料の溶融体が格納容器の外に出ていることが明らかになるでしょう。大気中への放射能汚染も止まっていないので、壊れた建屋全 体を覆う工事も必要です。核燃料の崩壊熱は10年後も10分の1にしかなりません。熱の問題はつきまといますが、ある段階で覚悟を決めて工事を始めなけれ ばなりません。空調を付けて冷やしながらでもやるしかない。

 放射能汚染は非常に深刻です。国は被害を大きく見せないように避難区域を限 定していますが、放射線管理区域を定める日本の法律を厳密に適用するなら、福島県の東半分、宮城県、茨城県、栃木県の一部、さらには千葉や東京都のホット スポット地域を無人にしなければいけません。

 原発がいったん事故を起こせば、これだけ大きな取り返しのつかない被害が出るのです。国も電力会社も、ただちに全国の原発を止めるべきです。
     *
こいで・ひろあき 1949年、東京都生まれ。著書に『隠される原子力・核の真実 原子力の専門家が原発に反対するわけ』『原発のウソ』などがある


◆2号機の「きれいさ」が原発の耐震脆弱性を示した◆
(サイエンスライター・田中三彦)

 非常に重要な映像ですが、残念ながらこの外観映像だけでは、1~4号機に何が起きたか、政府や東京電力がこれまで言ってきたことは正しいのか、そういうことまでは判断できません。

 とはいえ、いくつか驚くべきこともあります。2号機の原子炉建屋がこれほど"きれい"だったとは。

 しかし、3月15日早朝、地下にあるドーナツ状の格納容器圧力抑制室付近で爆発が起き、圧力抑制室が大きく破損したという事実があります。地上の外観とは裏腹に、地下の部分は相当破損しているはずです。

 東電はいまだにその爆発原因について触れようとしませんが、おそらく地震で圧力抑制室本体の溶接部に亀裂が入り、そこから水素ガスが漏れ出して爆発したのだろうと思っています。

 しかし、もしそうだとすると、原発が、津波ではなく地震の揺れで重大な損傷を負ったという「耐震脆弱(ぜいじゃく)性」の問題が浮き彫りになるので、東電も保安院も、2号機の爆発については黙っているということだろうと思います。

 この映像を見てもう一つ興味深いのは、4号機の損傷状況が想像していた以上に無残であるということです。1、3号機の破壊が原子炉建屋上部に集中しているのに対して、4号機の破壊は、全体的です。外見的には1号機以上にひどい。

  ところが、4号機に何が起きたのかを、東電はこれまた詳しく説明していないし、何も断定していません。3号機と共用している排気筒を経由して水素や放射性 物質が4号機に流入し、水素爆発が起きたなどと大まかには説明していますが、流入だけで、あれほど無残なまでに破壊されるのかどうか、きわめて疑問です。

 さらに不可解なのは、4号機の水素爆発は、その映像を見た人が誰もいないこと。映像があるのに政府や東電がそれを隠しているのか、それとも本当に爆発映像が存在しないのか、とても気になります。もしかすると実は4号機も相当激しい水素爆発を起こしたのかもしれません。

  水素爆発の着火源も気になります。水素爆発が起きるには酸素だけでなく、着火源も必要です。一般によくある着火源は電気的スパークですが、全交流電源喪失 状態であったので、電気的スパークは起きようがありません。周辺環境の温度が600度にもなっていれば爆発するでしょうが、とくに4号機の原子炉建屋内が そういう温度になっていたとは考えにくい。

 3号機にいたっては水素爆発ではなく、使用済み核燃料プールで「核爆発」が起きたのではない か、という説もあります。確かに、爆発時にキノコ雲状の爆煙が上昇していくさまはそれをほのめかすのに十分であるようにも思えます。しかし、今回のスクー プ映像から、核爆発を証明することは難しいでしょう。

 と言っても、私が核爆発を否定しているわけではありません。真に重要なことを政府も東電もいっさい明らかにしていないからです。
     *
たなか・みつひこ 1943年、栃木県生まれ。68年に日立製作所の関連会社「バブコック日立」に入社、福島第一原発4号機の圧力容器などの設計に関わった


◆コンクリート壁がはがれ、塗料が焦げない理由◆
(北海道大学大学院教授・奈良林直)

 3号機の鉄骨は間もなく撤去されてしまうので、歴史に残る貴重な映像です。

  私は東芝のエンジニアとして研究所にいた2001年、静岡の浜岡原発1号機で起きた蒸気配管断裂事故の原因究明を担当しました。当初は、水が蒸気を凝縮し ながら管内を高速で移動し、衝撃波を生じさせる「ウオーターハンマー(水撃)現象」が疑われ、「老朽化プラントで配管破断」とマスコミに書き立てられまし たが、それでは厚さ1センチ超の炭素鋼の配管が花びらのように飛び散るほどの破壊力を説明できない。試行錯誤の結果、蒸気に混ざった微量の水素と酸素が管 内に少しずつ高濃度で蓄積し、これがあるきっかけで着火し、音速で燃焼が進み1平方センチあたり2トンもの強い衝撃がかかるデトネーション(爆轟)が起き ていたことが判明しました。この結果は、国際会議でも発表し、マスコミにも公表しました。このとき学んだのが真実を公表することの大切さです。原因が究明 されたので、非難は沈静化しました。

 3、4号機でも同様の事象が起きたのでしょう。

 耐震Aクラスの堅固な4号機のコ ンクリート壁が爆風を受けたようにはがれ落ちている一方で、オペレーションフロアに置いてあった格納容器のフタの黄色い塗料や燃料交換機の緑色の塗料が焦 げていません。爆轟現象は短時間に高速で薄い膜状の衝撃波が通過するため、塗料の焦げる時間がなかったのです。3号機でも爆発時の映像に、球状の衝撃波が 写っています。当時の映像では、衝撃波のあと黒い煙と赤い火炎が見えました。オペレーションフロアで爆発し、火災が発生したためと思います。

  4号機は当時、原子炉が定期点検で停止していたため、水素の発生源はオペレーションフロアにある使用済み燃料プールではないかとも言われていました。しか し、プールの水位は十分でした。最近では3号機と4号機をつなぐ配管のフィルターの3号機側が著しく放射線濃度が高かったことから、3号機から漏れた水素 が配管を通じて4号機の建屋に蓄積し、爆発を起こしたといわれています。

 では、なぜ同じ水素爆発を起こしたにもかかわらず、1号機の壁面は、鉄筋の骨組みがきれいに残っているのか。

 これは3、4号機の壁が50センチ以上の厚いコンクリートでできているためです。強固であればあるほど爆発時に壁が受ける圧力は大きくなる。福島第一原発で最も古い1号機の壁はコンクリートパネルを張り付けた強度の弱いものだったうえ、水素濃度も薄かったのです。

 事故発生から6カ月がたち、原発から放出される放射性物質の量は非常に少なくなりました。しかし、いまだに周辺の土地の汚染は放置され、住民は自宅に帰るメドすら立っていない。

  原子力安全委員会の専門委員にも十分な情報は提供されていないのです。私のコメントは公表されたわずかなデータから推測したものですが、政府による情報統 制、「菅政権(当時)による"菅口令"」のうわさを聞きます。野田佳彦首相には、すみやかに情報を公開し、さまざまな立場の研究者が事故原因の究明に取り 組める態勢をつくることを期待します。
     *
ならばやし・ただし 1952年、東京都生まれ。2005年まで東芝で原子炉の安全について研究を行う。現在は内閣府原子力安全委員会専門委員も務める


dot.
トップ>http://dot.asahi.com/
週刊朝日(最新号の詳細・ご購入)
http://publications.asahi.com/ecs/detail/?item_id=14759
AERA(最新号の詳細・ご購入)
http://publications.asahi.com/ecs/detail/?item_id=14777

原発は低コストのウソ「原発廃絶なら値上げ」は恫喝だ!(2011/7/13)dot.

dot.
トップ>http://dot.asahi.com/
原発は低コストのウソ「原発廃絶なら値上げ」は恫喝だ!
(更新 2011/7/13 18:31)
http://dot.asahi.com/news/domestic/2012092600541.html
※全文引用


 経済産業省を中心とした時代遅れの原子力マフィアたちは、何も知らない国民を恫喝するために、「原発を廃絶すると、石炭や天然ガスの燃料コストが上昇して、一家庭当たり毎月1千円の電気料金の上昇になる」と騒ぎ始めたが、これこそ真ッカッカの大嘘である。
  電気代は、電力会社が公益事業だからという理由で、すべての必要経費を計上したあと、その4・4%相当分の報酬を加えるというように、原価コストに一定の 利益を加算する「総括原価方式」によって決められる。そこで電力会社は、巨額の建設費と出費を要する原発をつくればつくるほど、高い電気代を徴収できる。 一般企業がコスト削減に必死になるのに、電力業界は、むしろ無駄な出費増加で莫大な利益をあげる。これが彼らを、原発に走らせてきた諸悪の根源である。
 加えて原油などの燃料費が高騰した場合、3カ月後には、それに応じて電気料金が引き上げられる。これは理屈に合っているようだが、地域を独占する電力会社に競争相手はなく、好き放題に電気料金を引き上げてきた。

◆廃棄物処理費用、74兆円の可能性◆
  そこで立命館大学の大島堅一教授は、これまでマスメディアが検証もせずに引用してきた政府試算値(2004年公表)の発電価格をチェックしてみた。その結 果、1キロワット時の発電量当たり、液化天然ガスが6・2円、石炭火力が5・7円、石油火力が10・7円、一般水力が11・9円に対して、原発が5・3円 といちばん安くなっていることが、まったくの間違いであることを明らかにした。
 それは、原発のコスト計算で は、莫大な政府予算が投入されている研究開発費や立地対策のカネが入っていない。加えて、原発と火力では、設備稼働率を80%と仮定しているが、原発の稼 働率はせいぜい60%にしかならない。火力も30%しか動いていない。特に、夜間の原発余剰電力を利用するために建設されてきた巨大な揚水発電ダムの莫大 な費用を計算すると、原発が最も高くなる。電力への財政支出には、一般会計のエネルギー対策費と、エネルギー対策特別会計(電源開発促進対策特別会計=電 源三法交付金)があり、この財政支出を加えた総合の発電コスト(1970~2007年度平均)は、実際には一般水力が3・98円、火力が9・9円、原子力 が10・68円で、揚水発電を加味した「原子力+揚水」は12・23円になるのである。
 話はこれで終わらな い。さらにとてつもない量の放射性廃棄物という処分不能の危険物が発生し、それを処理することをバックエンドと呼んでいるが、ここに巨大なコストがかか る。電力会社は、プルトニウムを再利用すると銘打ったプルサーマル運転を強行してきたが、これを前提にしたバックエンド費用の試算結果は、2004年に政 府の総合資源エネルギー調査会が報告した内容によると、六ケ所再処理工場を40年動かすとして、建設・操業・廃止を含めた再処理費用が11兆円、放射性廃 棄物の処理・貯蔵・処分やMOX燃料(プルトニウム・ウラン混合燃料)の加工など、関連するほかの費用を合わせると18兆8800億円に達する。
  ところが、この大島教授に取材した経済誌の週刊東洋経済が、このコストを疑って試算したところ、実際にはその4倍の、74兆円に膨らむ可能性があることが わかった、とある。週刊東洋経済6月11日号が、「強弁と楽観で作り上げた『原発安価神話』のウソ」と題して、これだけ明確に原発のコスト計算の裏を暴い ているのだから、「火力を使えば電気料金が上がる」というストーリーは大嘘である。
 もともと電力会社が原発 で使ってきた無駄で巨大な出費をなくせば、逆の結果になる。実際には、自家発電の特定規模電気事業者(PPS)の電気料金は、電力会社より2割前後も安い のだ。つまり現在は、原発のために、とてつもなく高い電気料金を徴収されているのである。特に無駄で、まったく将来性のない高速増殖炉もんじゅと、六ケ所 再処理工場は、即刻、閉鎖しなければならない。そして原発から出る高レベル放射性廃棄物が莫大なコストを電気料金に加えているのだから、これ以上の高レベ ル放射性廃棄物が出ないように、一刻も早く原発すべてを廃止しなければならない。
 原発廃止への推進力となる反原発運動についても、一言申し上げたい。
  電力会社の原発はほぼ5千万キロワットだが、今夏のピーク時には、福島第一の廃炉が決まり、福島第二、東通、女川、東海第二が全滅し、浜岡が停止、柏崎刈 羽が3基再起不能で停止、さらに全土で定期検査中の原発が運転再開不能のため、事実上1300万キロワットしか稼働しない状況にある。
 この頼りない原発より、資源エネルギー庁が公表している産業界の保有する自家発電6千万キロワット(昨年9月末現在)のほうが、はるかに大きなバックアップとしての発電能力を持っている。
「原 発の代替エネルギーとして自然エネルギーに転換せよ」という声が圧倒的に多いが、日本人が"快適な生活"をするために使っている電気の大半を生み出してい るのは、現在は火力発電である。この火力発電は、日本においてきわめてすぐれた世界最高度のクリーンな新技術を導入しているので、何ら問題を起こしていな い。決して原発が、電力の大半をになっているのではない。原発は事故続きで、4分の1も発電していない。
 自 家発電をフルに活用すれば、このすぐれた、クリーンな火力だけで、「まったく現在のライフスタイルを変えずに、節電もせずに、工場のラインを一瞬でも止め ることなく」電気をまかなえる。これは、将来、自然エネルギーが不要だと言っているわけではない。多くの人が抱いている「自然エネルギーで代替しなければ 原発を止められない」という現在の反原発運動の固定観念は、まったくの間違いである。原発廃絶は、反原発運動の自己満足のために実現されるべきものではな い。産業界も含めた、すべての日本人のために進められるべきである。
 将来のエネルギー構成をどうするべきかについてはここで論じないが、原発を止めるのに、選択肢の一つである自然エネルギーは、今のところ特に必要ではない。つまり、産業界を味方につけて自家発電をフルに活用し、原発を止めることのほうが、もっと重要である。

◆ただちに必要な送電価格値下げ◆
  本誌6月10日号で特集したように、週刊朝日でこの連載を担当している堀井正明記者が各電力会社に取材した結果、興味深い電力需給についての裏の構造が明 らかになった。全国で、電力会社が他社受電の発電能力を秘密にして、取材にも答えようとしなかった。特に九州電力だけは、「発電設備ごとの能力の内訳は公 開していない。経営戦略情報なので教えられない」と、火力・水力・他社受電(自家発電からの買い取り)・原子力の内訳さえも答えないというトンデモナイ非 常識な態度をとった。この九州電力が、原発を動かせないので夏に電力不足になる、と言い立てている。
 なぜ電力会社は、これら当たり前の事実を隠そうとするのか、という疑問から、ここで重大なことが明らかになった。
  それは、彼らが安い電気を民間企業から買い取って、高い電気料金でわれわれに売って利益をあげている暴利の構造である。それを知られたくないばかりか、も う一つ「電力会社が自家発電をフルに利用すれば電力不足が起こらない」、この事実を国民に知られると、産業界からも、一般消費者からも、「送電線を自家発 電の民間企業に開放せよ!」という世論が生まれる。そして制度が改善されて、誰もが送電線を自由に使えるようになると、地域を独占してきた電力会社の収益 源の牙城が崩れる。送電線の利権だけは、何としても電気事業連合会の総力をあげて死守する必要がある、と彼らは考えている。九つの電力会社にとって、福島 原発事故を起こした今となっては、原発の確保より、送電線の確保のほうが、独占企業としての存立を脅かすもっと重大な生命線である。そのため、自家発電の 電気を買い取らずに、「15%の節電」を要請するという行動に出てきたのである。
 したがって日本人は、「自 然エネルギーを利用しろ」と主張する前に、「送電線をすべての日本人に開放せよ!」という声をあげることが、即時の原発廃絶のために、まず第一に起こすべ き国民世論である。何しろ、送電線が開放されて、安価に送電できなければ、自家発電ばかりでなく、自然エネルギーの自由な活用もできないのだから。
  しかし送電線事業の分離には時間がかかると予想されるので、それまで電力不足が起こらぬよう、国会は、全産業が安い送電費用で電気を供給できるよう、ただ ちに電力会社に送電価格値下げの命令を下し、それによって国民生活と企業活動を守ることが至上命題である。 (構成 本誌・堀井正明)
ひろせ・たかし 1943年生まれ。作家。早大理工学部応用化学科卒。『二酸化炭素温暖化説の崩壊』(集英社新書)、『原子炉時限爆弾--大地震におびえる日本列島』(ダイヤモンド社)など著書多数。今回の連載に大幅加筆した新刊『FUKUSHIMA 福島原発メルトダウン』(朝日新書)が5月13日に緊急出版された


dot.
トップ>http://dot.asahi.com/
週刊朝日(最新号の詳細・ご購入)
http://publications.asahi.com/ecs/detail/?item_id=14759
AERA(最新号の詳細・ご購入)
http://publications.asahi.com/ecs/detail/?item_id=14777