2012年12月2日日曜日

政策の具体像が見えぬ {南日本新聞}

南日本新聞
HOME >http://www.373news.com/
社説( 12/1 付 )
[維新の公約] 政策の具体像が見えぬ
http://www.373news.com/_column/syasetu.php?ym=201212&storyid=44803
▼「南日本新聞」から全文引用


 日本維新の会が衆院選公約を発表した。自主憲法制定を掲げたり、消費税の地方税化などで中央集権・官僚体制打破を強調したりしているのが特徴である。
 公約には達成時期など具体的な工程表は示されていない。橋下徹代表代行は「制度設計は官僚の仕事。実行するかどうかが問題だ」と言うが、それでは政策の中身が分からず、有権者は判断に困る。
 石原慎太郎代表の主張が色濃く反映されているのが目立つ。基本方針に「自主憲法制定」を明記し、集団的自衛権行使や防衛費拡充、尖閣諸島を念頭に置いた「実効支配力の強化」を盛り込んだ。
 日中関係悪化の発端が石原氏の「尖閣購入発言」だったことを考えれば、強硬路線は石原氏の持論の反映に違いない。石原氏のタカ派路線が前面に出ることで、周辺諸国の反発と警戒を招くことになりはしないか気に掛かる。
 エネルギー・原発政策では「脱原発依存体制の構築」を基本方針としたが、「2030年代の原発ゼロ」の明記は見送った。「30年代にフェードアウトする(消えていく)」という分かりにくい表現になったのは、「たちあがれ日本」への配慮だろう。
 環太平洋連携協定(TPP)に関しては交渉参加に前向きな姿勢を示したが、「国益に反する場合は反対」と留保をつけた。橋下氏が参加を明言していたことを考えると、トーンダウンは否めない。
 そのほか「維新八策」で宣言した「衆院定数半減」は「3割から5割削減」に後退し、「無駄な公共事業の復活阻止」は立ち消えになってしまった。既存の政治に大胆に切り込む橋下氏らしさがそがれたのは残念でもある。
 第三極結集のために石原氏が「小異を捨てて大同団結し戦おう」と呼び掛け、それに応じた維新の会である。独自色が薄れた公約から見れば、捨てたのは小異ではなかったのではないか。
 中央集権打破では、消費税率を11%とした上で全て地方税とし、「地方共有税」を創設するとしている。その代わり、国が自治体の財政事情を見て配分額を決める現行の地方交付税は廃止する大改革だ。
 ただ、配分調整は難航するだろうし、地域間競争と小規模自治体の安定財源をどう確保するかなど実現へのハードルは高い。具体的な制度設計が問われる。
 維新が国政を担う政党を目指すなら、整合性のとれた実現性のある公約に練り上げる必要がある。
南日本新聞 HOME >http://www.373news.com/

0 件のコメント:

コメントを投稿