2012年2月7日火曜日

武田邦彦 (中部大学)のブログ引用(4号機プールについて)

武田邦彦 (中部大学)のブログ引用(4号機プールについて)

武田邦彦 (中部大学)

 http://takedanet.com/

 4号機とセシウムの基礎知識 (1) 薪とウラン(セシウム情報は末尾)

 http://takedanet.com/2012/01/4_ca1c.html

 

福島のセシウムが急に増え、さらに福島第一原発の4号機が爆発したのではないかと心配されています。多くの人が心配しているのに、原子力関係者は事実や基礎的な考え方をほとんど公表していません。

こ のようなことは、今に始まったことではなく、これまでの原子力に共通して見られたことです。つまり、反原発の人たちが懸命に調べ、発信し、抗議をしていて も、原発推進の人たちは「俺たちには殿様(政府)がついているから、彼らの相手にしなくても良い」という態度に終始したのです。

でも、これは反原発の人も同じでした。私は時に反原発の研究会などに行って、質問をすると「なんだ、こいつ! 原発側にいてケシカラン。そんな質問をしてどうなるのだ」という目で見られ、十分な答えをして貰ったことはありません。

「不毛な対立」というのはこういうのを言うのでしょう。お互いに自信に溢れ、自分たちの村に安住し、自分と異なる考えの人も立派な日本人であるということを認めようとはしないのです。

原発推進側は言葉使いは丁寧なのですが、慇懃無礼。反原発の方は、言葉使いは汚く、ののしるという感じです。私も反原発に近づきたくなかったのですが、その理由は「少し質問でもすると、ものすごい勢いで人格バッシングにあう」ということでした。

質 問に答えてくれるよりも、レッテルを貼られ、バッシングを受けるので、質問がむなしく感じられました。でも、私たちが原発のことを考えたり、議論したりす るのは、私たちの世代だけのことではありません。長く、日本の将来を左右することなのですから、少し、「俺が、俺が」というのを止めて「相手は?相手 は?」という姿勢をとって欲しいものです。

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ところで、4号機とセシウムの急増はどうなっているのでしょうか? 私たちは子供たちを守るために、さらに何かをする必要があるのか、それとも、このまま何とかしのげるのでしょうか? それを自ら決めるためには単に「4号機が危ない」というだけではなく、「なぜ4号機は危ないのか」をキチンと示す必要があります。

論説やネットで「4号 機が危ない」と言っておられる方の内容を理解しようとしたのですが、どれも科学的に十分な説明がありませんでした。科学というのは、自分の意見、恐れ、希 望などとは違い、万人が理性的に納得できなければならないからです。「おまえは知識がないから、判らなくて当然だ」というのは科学ではありません。

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原発というのは原子炉の中で「核反応」が起こるものです。この「核反応」というのは難しいことのように思いますが、薪が燃える「化学反応」と同じものです。ただ、薪が燃えるのは大昔からのもので、ウランが燃えるのはキュリー夫人が見つけたもの(核の変化)なので、100年ほど前という新しいので、それを区別するために分けているだけです。

「燃える」という言葉を「なにかが変化して熱を出す」ということで言えば、「薪を燃やす、ウランを燃やす」と言っても間違ってはいません。

さて、薪を燃やすと、熱だけではなく煙やCO2(二酸化炭素)を出すように、ウランも燃えると「死の灰」を出します。薪を燃やしてできる煙も少し毒性がありますし、タバコの煙もその一種ですが、ウランを燃やしてできる死の灰はそれよりかなり毒性が強いので、問題になっているのです。

で も、薪が燃えている時に火を消すと、灰は残りますが、煙たいことはなくなるように、ウランも火を消すと死の灰は残りますが、燃えているときに比べるとずっ と安全になります。そして薪の火を消すて暫くするとすっかり冷えて、片付けられるように、ウランも火を消して暫く(かなり長いが)すると冷えて、これも片 付けられるようになります。

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あ まりに簡単なことを説明しているようですが、実はこのような基礎的なことを間違えて解説している専門家もおられます。たとえば、「福島のセシウムにヨウ素 が入っていないから、原発からではない」などがそれにあたりますが、原発からだろうが、畑からだろうが、火が消えた時間が同じなら、残っているものも同じ です。

また、4号機が爆発したといわれますが、それが核爆発ならヨウ素が出るし、水素爆発や水蒸気爆発ならヨウ素は出ません。このような基本的なことをしっかり、完全に理解しておくことが「自分で判断する」にはもっとも大切なことなのです。

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少し長くなりましたから、ここで次に回します。ところで、福島のセシウムは相変わらず高い状態が続いていて、最新のデータでも、セシウム合計で60ベクレル(平方メートルあたり)もあります。この状態は1011月とはまったく違います。少し緩い警戒を続けてください。

(平成24115日)


 4号機とセシウムの基礎知識 (2) 止めてからのこと
 http://takedanet.com/2012/01/4_b4f3.html


311日の地震が来る前、福島第一の1号機から3号機までは、ウランが「燃えて」いました。燃えているということは激しく熱を出し、反応してできた死の灰がドンドン、原発の中で蓄積していたのです。

死の灰の内、すぐ分解(科学的には崩壊という)するものが多く、分解すると死の灰も熱を出すので、「燃えている時にはものすごく危険なものを出している」とまずは覚えてください。数字に強い人は、1日で20分の13ヶ月後では100分の1にという感じで感覚をつかむと便利です。

たとえば、ヨウ素11は半減期(分解して半分になる)が8日ですから、8日後に2分の116日後に4分の124日後に8分の1になります。3ヶ月というとおおよそ80日ですから、2分の1、つまり0.5を10回かけます。0.5×0.5×0.5×0.5×0.5×0.5×0.5×0.5×0.5×0.5=0.001 ,つまり、ヨウ素だけを考えると1000分の1になるのです。(算数の得意な人は0.5を10乗してください)

ただ、セシウムやプルトニウムのように長い半減期のものがありますから、ヨウ素は1000分の1になるのですが、全体は100分の1ということです。

もし、ある親がこのことをよく知っていて、「原発が爆発した!」という情報を得た途端に逃げて、3ヶ月後にその場所に戻ってきたとしますと、すでに1000分の1になっているのですから、そのままそこに住んでいた場合に、1100ミリシーベルトのペースで被曝した場合、それの1000分の1、つまり、01ミリしか被曝しないのですから、安全と言うことです。

最初に避難することがいかに大切かということがわかります(今、もし4号機が爆発した場合はまったく違います。早とちりしないでください。これは3月のことです)。このシリーズは「3月には逃げる必要があったが、今はもし逃げてもその意味が違う」ということを知るためでもあります。

「知識は力」です。お子さんを守るためには、「正確な知識」を持つことが何より必要なので、先入観を持たずに読んでください。

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つまり、「電気を作っている原発」は膨大な放射線をもっているのですが、「止めてから3ヶ月たった原発」は放射線量が100分の1になっているのです。それからはあまり分解しない元素(長寿命核種という)がありますので、減り方は単純ではありませんが、「最初は急で、その後、少しずつ減っていく」ぐらいの感覚が良いでしょう。

ところで、4号機は事故の起こった312日には定期検査中で止まっていました。4号機を止めたのはその前の年(2010年)の11月ですから、すでに4ヶ月がたっていたのです。つまり、最初から4号機のプールにあった核燃料の死の灰の量は100分の1以下になっていたのです。

4号機の核燃料は呼び方が難しい・・・プールの名前は「使用済み核燃料プール」、中に入っている内の一部が「使用中核燃料」です。4号機のプールの中には1500本の核燃料があるとされていますが、おおよそ1000本が使用済み、500本が使用中と思われます。もちろん、使用済みの方は「使い切った後」ですから、死の灰も少なく、使用中の方は定期点検が終わったらまた使うのですから、少しウランなどが多いものです。でも、被曝という点ではあまり大きな差はありません。)

だから3月に爆発した原発の内でも、4号機は「なぜ、爆発したのか?」はハッキリしません。1号機、3号機は普通に考えると「水素爆発」です。それは、止めたばかりなので元素が分解する熱(崩壊熱)が大きく、原子炉を冷やすことができなくなったので、水が蒸発し温度があがり、その結果、水素がでて「水素爆発」をしたと考えるのが普通だからです。

それに対して、4号機は100分の1しか熱がでていなかったので、それほどの危険は無かったはずです。だから、今のところ3号機から水素が流れて、それに火がついたとされています。

でも、疑問もあります。それは事故の後、ヨーロッパから運んできた「鶴首」のような長い消防ホースを4号機のプールの冷却に使っていたので、なにか東電が隠しているのではないかとの憶測が残っているからです。

東 電ばかりではなく、電力会社全体が、強い錯覚(俺たちは何が何でも原発を動かす使命がある。国民がなんと言っても、政府(お殿様)のご命令だ!)があるの で、ウソをつきやすい。だから電力が言っていることはほとんど信頼性がありませんが、事故の時にどの場所に水をかけるのかということもウソということはな いでしょうから、4号機に最強の冷却装置を使ったということになると、疑問が残るのです。

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いずれにしても、あまり複雑になると、何が何だか判らなくなりますから、ここでは、

1) 原発は止めると急激に死の灰は減っていく、

2) 1日で20分の13ヶ月で100分の1に減る、

3) ヨウ素は3ヶ月で1000分の1になっている(今は3000億分の1)、

4) 原子炉の運転を止めてすぐ爆発した場合は、急いで逃げると被曝が減る、

5) 4号機は事故の4ヶ月前にはすでに止まっていた、

6) 現在は1から3号機は止めてから10ヶ月、4号機は14ヶ月になっている、

7) だから、今、水素爆発してもヨウ素はでない、

と言うことを復習しておきたいと思います。

(平成24116()



 4号機とセシウムの基礎知識(3) 4号機の再臨界と危険性
  http://takedanet.com/2012/01/44_7d07.html


最初にセシウムの状態を見てから4号機の話に進みます。


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地表に落ちてくるセシウムはこのグラフに示したように少し落ち着いて来ました。12日の400ベクレル(1平方メートルあたり)に比較すると、最近では100以下になってきたことが判ります。しかし、この値を落ち着いていた9月、10月、11月と比較してみると(次のグラフは11月のものですが、グラフの縦軸を1月のグラフと同じように500ベクレルを最高にしてありますので、同じ尺度で視覚的に見ることができます)、まだかなり高いレベルにあると言うことが判ります。


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セ シウムの降下量が急に高くなったことに注意しなければならないのは、1)もし、地表に落ちたものが舞い上がったとしたら、この状態が数年続く可能性があ り、地表近くの空気を吸う子供は注意が必要なこと、2)もし、原発からなら東電の発表が必要であり、3)粒径、他の核種などの分析を政府が発表してくれれ ば原因が特定できる、などがありますが、いずれもハッキリしないからです。

風の向き、アメダスのデータなどを見ると、地表から舞い上がったにしては風の強さに関係がなく、原発からとすると風の向きで説明ができず、福島第一以外の原発からかという奇妙な結論になりますが、それも変です。もう少し、緩い警戒をするのが良いでしょう。

また、先回の(2)までお読みいただいた方は、「福島で急に増えた定時降下物にヨウ素があれば原発から、なければ土から」というのは間違っていて、「急に増えたものにヨウ素が含まれていれば、新たに核爆発(運転中)している原発から、そうでなければ3月に止まった原発から」ということがわかります。

また、止まったばかりの原発から襲ってくる死の灰は恐ろしいけれど、止まってから10ヶ月もたった原発から飛んできてもヨウ素はもう無いから、子供の甲状腺は大丈夫ということもおわかりになったと思います。

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一応、これだけ準備して、4号機の問題に入りたいと思います。4号機は一昨年の11月(201011月)に定期検査のために止めて、燃料を炉心からプールへ移動していました。だから3月に爆発したときには、すでに4ヶ月を経ていたので、ヨウ素などは含まれていませんでした。

原発には3つの状態があります。一つは、ウランなどの燃料は持っているけれど、まだ爆発(運転)前のものが入っている状態、次に、爆発中(運転中)、最後に爆発後(運転中や運転後)のものがある場合、です。

ウランは核燃料ですが、放射線は弱く、しかもアルファ線しか出しませんから、防御も楽です。3号機はプルトニウムとの混合燃料を使っていましたから、またすこし違います。でも、運転をしていない核燃料はそれほど問題となるような危険性はありません。

これに対して、運転を始めると核反応が始まります。そうすると急激に核分裂生成物(死の灰)ができますので、ものすごく危険になります。ここで、前に説明したことがありますが、「臨界」というのと、「爆発」について説明しておきます。

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科学は「ある状態」と「変化」を区別して整理をしていきます。あとえば、「氷」の場合、マイナス5℃の氷を、プラス5℃まで暖めますと、氷が融けて水になります。この場合、「氷」というのは水の分子が固体になっている「状態」であり、融ける温度0℃を「融点」、融けることを「融解」と言い、こちらは「状態の変化」です。

ま た、ガソリンや灯油が燃えるのを、燃焼もしくは爆発といい、目で見る時には「燃焼」と言うことが多いのですが、物が燃える条件のことを「爆発限界」と表現 するのが正しい技術用語です。あまりこのような専門的なことは言いたくないのですが、技術用語の使い方をバッシングして本質が見えないようにしようとする 人も多いので、一応、解説をしておきます。

こ れを原子力に当てはめますと、「臨界」というのは、「融解」のように「変化」を表すもので、いわば「ウランが静かにじっとしている状態」から「爆発的に核 反応が進む状態」に変化することを言います。そして、臨界を超えると「爆発状態」になりますが、それが「徐々に起こる場合(原発の通常運転時)」と「小規 模に爆発する場合(東海村の事故の例がこれに当たりますし、第二次世界大戦中ではアメリカのハンフォードなどで小規模な核爆発が何回もありました)」、そ して「原爆のように大規模爆発の3つがあります。

だから「臨界を越えて爆発する」=「危険である」ということではなく、徐々に起こるか、規模はどうかによって異なるのです。4号機が「再臨界」に達するから「危険である」と即断できないのがそこにありますので、正確に理解をしておく必要があります。

私が今、整理をしているのは、4号機が再臨界した場合、爆発状態に入るのですが、それが「観測もされないぐらい小さいか」、「中規模で3月の爆発ぐらいなのか」、それとも「大規模爆発があり得るのか」のどれかということです。おそらく、小さな爆発があるかも知れないのですが、それならそれほど危険では無いと思います。

4号機が臨界に達した場合のことを次回に解説したいと思います。

(平成24117日)

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