2012年3月8日木曜日

妊婦と子どもだけでも避難させてほしい――放射能汚染が深刻な福島市渡利地区住民の切実な訴えにも無策



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昨年の記事で恐縮ですが、掲載しようと思いつつ忘れていました。マスコミの伝える汚染地域の状況と、現地の一部の方々の考えは、違う部分がかなりあるようです。つまり、「避難したい」「移住したい」と言う意見は、マスコミは、ほとんど取り上げず、「帰村」の話ばかり報道します。以下、全文引用。


週刊東洋経済(政治 経済)から全文引用
妊婦と子どもだけでも避難させてほしい――放射能汚染が深刻な福島市渡利地区住民の切実な訴えにも無策の政府
- 11/10/29 | 00:00
(1) http://www.toyokeizai.net/business/society/detail/AC/850f95c85a6cf9fe7b20c0218d81672f/
(2)http://www.toyokeizai.net/business/society/detail/AC/850f95c85a6cf9fe7b20c0218d81672f/page/2/
(3) http://www.toyokeizai.net/business/society/detail/AC/850f95c85a6cf9fe7b20c0218d81672f/page/3/

(1)
写真URL
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 福島県庁から約1キロメートルの近距離にある福島市渡利地区――。
東京電力福島第一原発事故放射能に汚染された同地区の住民らが10月28日、東京千代田区の参議院議員会館で政府関係者に妊婦子ども放射能から守るための取り組みの実施を求める署名簿(1万1179筆)を提出した(タイトル横写真)。
地区全体を対象とした詳細な放射能の測定および地区全体の特定避難勧奨地点指定、妊婦子ども避難に対する国の支援措置などを求めて政府関係者と交渉した。特定避難勧奨地点原発事故後の1年間の放射線の積算線量見込みが20ミリシーベルト超)に指定された場合、住民は避難の際に政府による支援を受けることができる。
政府側からは、内閣府原子力災害対策本部の原子力被災者生活支援チームや原子力安全委員会などの担当者が出席。2時間以上にわたって議論が続けられたが、出席した住民からは「政府には妊婦子どもに配慮する姿勢が見られなかった」(阿部裕一さん、38)などと、落胆する声が相次いだ。
写真URL
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■「妊婦子どもはまったく配慮されていない。一律、20ミリシーベ
ルトの基準に押し込まれている」と語る渡利地区住民の阿部裕一さん
住民が政府に求めたのは、以下の6点。すなわち、
(1)渡利地区全体を国が特定避難勧奨地点に指定すること
(2)詳細な放射能測定を地区全域で再度実施すること
(3)妊婦子どものいる世帯については、福島県伊達市南相馬市と同様に、一般の基準よりも厳しい特別の基準を設けて特定避難勧奨地点に指定すること
(4)放射能の積算線量の推定および特定避難勧奨地点の指定に際しては、原子力安全委員会の通知に従い、食物摂取や浮遊物質の吸収をはじめとするすべての経路による内部被ばくと土壌汚染の程度を考慮に入れること
(5)自主避難者に対する補償および国や市による立て替え払いの実施
(6)住民の意見を聴取する場の設定およびその結果を特定避難勧奨地点指定の検討に反映させること
だが、政府の担当者は、「渡利地区全体を特定避難勧奨地点に指定する考えはない。除染をしっかり行うことで住民の不安を払拭したい」「南相馬市では地域の事情などを勘案して特定避難勧奨地点の設定をしたが、福島市の場合は同地点の基準に該当する2カ所の住民に避難の意思がなかった(ために指定しなかった)」との説明に終始した。


(2)
除染着手には時間がかかる。それを待たずに、今すぐにでも放射能汚染についての詳細な調査はできるはず」「せめて除染が終わるまでの間、妊婦子どもだけでも国の責任避難生活の保障をしてほしい」。
住民からはこんな切実な声が上がったが、「みなさんのお気持ちは承った。ただし、(すみやかに調査しますということは)ここでは決めかねる。難しいところもあろうかと思う。検討はしていく」(原子力被災者生活支援チームの茶山秀一課長)などと、政府側は歯切れの悪い答弁を繰り返した。
渡利地区の住民が政府に不信感を抱くのには理由がある。渡利地区では8月下旬に、政府原子力災害対策本部および福島県による放射能汚染に関する調査が実施されたが、同地区で暮らす約6700世帯のうちで5000世帯以上が調査の対象から外れされた。
危機感を抱いた住民の声を踏まえて、「福島老朽原発を考える会」などの市民団体放射能測定の専門家である神戸大学の山内知也教授に依頼して9月14日に地区の汚染状況を調査したところ、学童保育室の前で子どもが遊び場として利用している神社の敷地内で、2.7マイクロシーベルト/時(高さ50センチメートル)の高い放射線量を計測。
写真URL
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■「自宅の庭先で5.8マイクロシーベルト/時の高い放射
線量が判明した」と語る地元町内会長の高橋照男さん
南相馬市適用された妊婦子どもに関する特定避難勧奨地点の指定基準をはるかに超えているのに、国の調査対象外になっているのはおかしい」という声が上がった。
また、福島市除染のモデル事業を実施した渡利小学校の通学路沿いの住宅前にある雨水ますや側溝でも、各22.6マイクロシーベルト/時、5.5マイクロシーベルト/時(ともに高さ1センチメートル)の高線量を記録。「側溝の泥すくい程度では十分な除染の効果は期待できない」と住民は考えた。


(3)
しかし、政府は住民の不安を取り除くための方策を用意しなかった。「国のやり方で測ってきた」(茶山課長)とはいうものの、「それならばなぜ特定避難勧奨地点の基準に該当した2地点を指定しなかったのか」との住民の指摘には、「住民の方が望まなかったから」と返答。
「それはおかしい。指定したうえで、避難するかどうかは住民に意思に委ねるのが本来のあり方ではないか」との住民の疑問にもきちんと説明できなかった。
渡利地区では10月8日に福島市による住民説明会が開催された。その場で「なぜ、特定避難勧奨地点に指定しないのか」との住民の質問に市の幹部は「あくまで国が設定するもの。市が口をはさめるものではない」と答えた。
だが、10月28日の住民との話し合いで政府側は、「地元の実情も考慮して(指定をしないとの)結論を出した」(前出の植田課長)とした。国と県や市の間でどのような検討を踏まえて指定を見送ったのかについては明らかにされなかった。
「渡利の子どもたちを守る会」の菅野吉広代表(43)は、小学生の子ども2人を持つ。その菅野さんは政府に詳細な再調査の実施を迫った。
しかし、政府側は「除染を進めたい」と繰り返すばかり。しかし、その除染についても、「地区内で汚染土の仮置き場が決まらなければいつまでたっても着手できない」と菅野さんは指摘する。「その間、住民は被ばくし続ける。せめて妊婦子どもだけでも安全なところに避難できるようにしてほしい」と菅野さんの訴えは切実だ。
政府の無策が住民の生命を脅かしている。
写真URL
http://lib.toyokeizai.net/public/image/2011102800987157-3.jpg
■交渉には、7人の政府担当者が出席した。左端は福島みずほ社民党党首
(岡田 広行 =東洋経済オンライン)


☆以上、 東洋経済オンラインから全文引用

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